「和」的で実は「洋」な、がま口

update:2019/07/04

がま口というと、一昔前は「おばあちゃんのサイフ」なんてイメージがあったかもしれませんが、この数年は、手芸としても、バッグのデザインとしても、主流派のデザインの一つになりつつありますね。
それも、「和もの手芸」「和の手づくり」をモダンにしたものが流行っているせいかもしれませんが。

しかしながら、「がま口」というのは、もともと日本ものではありません。
明治にもたらされた欧米文化の一つ。つまり、当時の最新ファッションだったんですね。
最初に日本に持ち込まれたがま口は、フランス製だったらしいですよ。それを、日本でも創るようになったわけです。

和もののイメージは、ひょっとしたら、明治期のご婦人たちがもった、華やかなビーズのパーティバッグから来ているかもしれません。びっしりと和柄が施された「和のビーズバック」の多くが、がま口ですから。

〈誠文堂新光社〉和のビーズと観賞知識

和のビーズと観賞知識: ビーズバッグの意匠、制作技術、由来から着物との取り合わせまで

新品価格
¥3,456から
(2019/7/1 18:17時点)



しかしながら、前述の通り、がま口は「洋」のものです。
例えば、ウィーンのハプスブルク家が愛したプチポアン刺しゅう(ゴブラン刺しゅう)で作られたバッグの多くはがま口(クラッチバッグ)ですし、他にも、フランス製のアンティークバッグなどを調べると、ビーズが施された可憐なバッグなどを見ることができるでしょう。

〈日本ヴォーグ社〉プチポアン 刺しゅうの宝石

プチポアン―刺しゅうの宝石

中古価格
¥7,980から
(2019/7/1 18:18時点)



まぁ、でも。この数十年、がま口はすっかり「和もの」となり、日本に馴染みました。
ですから、本稿でも「和もの手芸」にしています。
しかしながら、ソーイング感覚で、いろいろなものを作るのが、現在のスタンダード。

本もいろいろありますが、おすすめはコレ。

〈河出書房新社〉いちばん簡単、きれいに作れる がまぐちの本

いちばん簡単、きれいに作れる がまぐちの本

中古価格
¥687から
(2019/7/1 18:18時点)



初めての人でも、かなりキチンとプロセス解説を写真つきでしていますので安心。定番のサイフはもちろん、ポシェットやバッグなどいろいろ掲載されていますが、編み針ケースや、ソーイングケース、眼鏡ケース、さらには、さまざまなサイズやフォルムのポーチなどもあって、かなり使えます。センスも抜群で、若い方から高齢者まで、布地を選べば幅広く楽しめると思います。

最近では、100均でもがま口のパーツが売られています。しかし、がま口って壊れやすいんです。100均のものを試したことはないので分かりませんが、がま口は優れた職人さん、工房が日本にもあります。小さなものなら、手軽なお値段のもので試すのも良いと思いますが、バッグなど本格的に作りたいなら、きちんとしたお値段の、きちんとした口金メーカーものをおすすめしたいと思います。

例えば、昭和2年創業の角田商店。老舗の袋物用材問屋さんです。
特に口金が有名なところで、東京の浅草橋にいったら、ぜひ足を運びたいところ。ネット販売もしています。
角田商店 http://www.towanny.com/

ちなみにですが、「現代の名工」に指定されている職人さんのいる袋物工房もあります。
秀和がま口製作所 http://gamaguchi.jp/

自分で作るのもいいですが、本格的にがま口バッグが欲しいなら、思い切ってオーダーを!
 

CATEGORY : 和もの手芸・和裁  |  TAG : , ,